年越し・新年の5日間について

年末最終日、降って湧いた追加業務にげんなりしながら工場に向かった。
やった内容は今年使った機材の掃除及び整頓だが、2時間で終わった。
これ、オレいなくてもよかったんじゃない?バス代の5ドル返して欲しいんですけど…という顔をしていたら、
さすがに気まずかったのか帰りがけに社長が餅をくれた。
売価で6ドルだから、これでよしとするか。冷凍でカッチカチだったけどね…。

思うところあって年越しのポットラックはキャンセル。
ホームステイファミリーと一緒にうどんすきを突っつくことに。
雨風が吹き荒れる中の年越しは、やっぱり落ち着ける場所で過ごしてよかったんじゃないかと思う。
そしてハワイでの一ヶ月が過ぎた。

ポットラックをキャンセルした理由にもつながるのだが、
最初の一ヶ月はハワイを満喫しなくちゃというわかりやすい強迫観念に駆られた一ヶ月だった。
ホノルルマラソンへの準備に始まり、英語のコミュニティへ顔を出し、
部屋にこもっては時間がもったいないと外へ出る理由をひたすら探し続けた。
カネがかかると分かっていながらもショッピングやスカイダイビングに精を出し、
なんとなくのやり遂げた感を得ることは出来た。
実際楽しかったのだが、一方で結構疲れたし、ストレスもあった。
ハワイという状況を特別視するあまり、自分をプッシュし過ぎて「もういいよ、お腹いっぱい」となった年の暮れ。
満喫してる感を演出したくて、いろいろ頑張ってはみたけれど、一ヶ月もたつし、もういいでしょ?というのが今の感想。

一ヶ月生活した程度で結論を出すのは早いかもしれないけれど、
今自分が感じるのはハワイは特別な場所ではなかった、ということ。
来る前はいわゆる世界有数のビーチリゾート、というイメージだったけれど、
現状雨風ビュウビュウ吹くし、マジで寒い。
日常品は殆どの物が日本より高いし、レストランも正直日本のほうが美味い。
フィリピンの時にも思ったが、現地の人の「美味い」はあくまでその地域の中での「美味い」であって、
日本の生活に慣れた自分の水準からすると「うん、まあ美味しいよね」ではあっても「感動」ではなかった。
別に見下している、というわけではなく、それだけ日本のレストランの水準が高いんだということに気づいた、ということ。
もちろん日本人向けのアレンジが日本人に合うのは当たり前だろ、という言葉もあるだろうけれど、
十中八九、僕にそのレストランを進めてくれた人に日本の食を体験してもらえれば満足してもらえるだろうという予感はある。
まあ、フィリピンの場合、味の前に値段というハードルがあるけれど。
話がそれたので戻すが、ハワイではすべからく何をするにも高い。

日本にないものをと探せば、サーフィンでありビーチ、ではあると思うのだけれど、
それってわざわざ10時間近くもかけて、フライトに10万円以上かけてくるほどのものなのかなぁとも思う。
フィリピンびいきというわけではないけれど、アジアで一番きれいな海がフィリピンにはある。
詳細な値段を知らないので比較できないけれど、ボラカイのほうが言ってもトータルの満足値は高いんじゃないかと思う、
コスト的に、フライトにかかる時間的に、あと時差的に。

日本人が多いということはメリットでもありデメリットでもあった。
KCCファーマーズ・マーケットに顔を出したら、すべての露天に日本人向けのフリップボードがあって、
当然のことながら観光地値段。正直げんなりした、お弁当どころか本命の野菜すら全く安くないんだもん。
ただ一方でドン・キホーテにいけば納豆やら豆腐やら日本酒やら、日本にいるのと変わらない品ぞろえがある。
実際日本に10年近く滞在してたジムさん(仮)から上品な煮びたしをごちそうになって驚いた。
ドン・キホーテに行けば、必要なもの全部そろうからね」(日本語)と言われた日には、便利だよなあと力いっぱい頷いた。
外国の人は日本人とコミュニケーションを取りたいと思ってくれる傾向が強く、
「日本語を教える代わりに、英語を教えて!」という要求は自然に飲んでもらえる環境はある。
ハワイ現地の日本人コミュニティはそれなりの規模らしく、英語をしゃべれなくてもなんとかやっていけそうだ。

…というのが現状ハワイに抱いている感想。
正直一生住む場所としては、自分には物足りないと感じた。
いうならばUSAの中のリゾートであり、田舎。文化の生まれる場所でもなければ、人が激しく入れ替わる活気あふれる場所でもない。
リタイアした裕福な人たちが、ゆっくりと骨を埋める、そういう目的の場所なんだろうな、と。
だから肩肘を張って「ハワイを満喫するぞ」などと意気込む必要はないんだと思うようにする。

幸いなことに、家賃は500ドル(電気・水道・通信費込み)。
日本で一人暮らしをするよりも安くハワイに滞在することは出来る。
航空券に往復で9万円くらいかかるが、2ヶ月で割ってたして、日本の都内家賃相場とトントン、もしくは安いくらい。
ホノルルマラソンに参加しに来たことを考えれば、十分もとはとっていると思うし、
自分の生活の場が横浜からハワイに移った程度の感覚で楽に過ごしてみようと感じたのが、この年末から正月にかけてだ。

だから正月は日本にいた時のように、
徹底的にインドアな生活をしてみた。

元旦こそジムさん(仮)とココヘッドへ登り、初日の出を拝もうとしたり、
アラモアナで太鼓の演舞を見たりとアクティブな一面を出したが、
それ以降はひたすら部屋に引きこもり、ネットを眺め、スキューバダイビングの教科書を読み、今年の計画を練り、唸り…
そんな毎日を過ごしていた。


ブログを更新しなかったのも、アウトプットをせずに、
引きこもり続けたらどうなるか、という実験の一環だったのだが(そうならそうと先に言えよという話だが)
最終的にはアウトプットできないことが辛くなった。
時間がない、という言い訳が許される会社員という環境ならあるいは自分を騙せたかもしれないが、
時間が有り余るにもかかわらず、なにも生産的な活動をしていない、なにも生み出していないという実感が、
毎日積み重なるのを感じるにつけ、なんとなくヒリヒリとした自己嫌悪が頭を悩ませた。
これぐらい気弱な方が、自殺なんかもせずに、こすっからく生きられるのかなと自己正当化をしてみるが、
もうちょっと図太くても良いんじゃないかとも正直思う。
そんな日常だ。

エンジョイしなくちゃ!という束縛から開放されたことにより、
日々の支出は驚くくらい減った。
そりゃあ家からでなければ金は使わないよなぁ。
多分、日本に帰るまでに大きな買い物が2,3あるかも知れないが、
それ以外の支出はたまにドンキに買い出しに行く程度になるはず。
そうやって海外を当たり前の日常に組み込むトレーニングをしていこうと思う。

それではまた明日。